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学校につくまでの間、明日からの電車通学の確認を何回も聞かされた。
「いーい龍也、乗り換えの時はちゃんと3番線にいくのよ」
「わかったから、黙って運転してくれ」
助手席で座席を軽く倒し、寝る体制を作って美雪をなだめた。
美雪は不服そうに口をとがらせCDを流す。
激しいバイオリンとそれを包み込むように強く、でも滑らかなピアノの音はクラシックな曲調なのにロックなノリ。
その音色にのせて、甘く低い男の歌声。
「誰だっけ?」
不意に聞かれて美雪はちらっと龍也に目をやる
「えっ?あーsakuyaよ。ママの大好きな人」
顔をほころばせた。
そして美雪は、ハンドルを握る人差し指でリズムを取りながら口ずさむ。
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