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「……オン……ねぇ、シオンってば!いきなり黙り込んじゃうから、びっくりしたじゃない」
「えっ、あぁ、悪い悪い」
「で、もう終わったの?」
「何が?」
「だから、入団手続きはもう終わったの!?」
「あっ、そういやまだだった!」
俺も年かなぁ。さっきまでしてたことをもう忘れるなんて。我ながらしょぼい記憶力だな。
「じゃあ、私が着いてってあげるよ。どうせシオンのことだから、カウンターの場所も分からなかったんでしょ?」
「そんな事実はない」
「じゃあ、私は奥を見てこよっかな~」
「えっ……いや、あの……」
「どうしたの?行かないの?」
もう俺、女が怖い。マリアが怖い。
「すいません……、連れてって下さい」
「アハハッ!初めからそう言えばいいのに」
いや、それはそれで恥ずかしかったのよ、うん。
でも、まさかマリアが居るなんてな。カウンターとやらに連れていってもらえて良かった良かった。
「そう言えばさ、いつもこんなに人がいるもんなのか?」
「さっきカウンターのお姉さんに聞いたら、今日はギルドの一般解放日だから人が多いんだって」
「一般解放って、何を解放するんだ?」
「えっとね、普段はギルドメンバーしか建物内の設備とかは使えないらしいんだけど、月に2、3度町の人も使える日があるらしいの」
「へぇー」
毎日毎日こんな風じゃなくて助かった。
俺、人混みとか嫌いだからな。
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