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とある日の昼休み。
義之は頬を押さえて項垂れていた。
「あれは不注意だったのにさ」
ヒリヒリする頬。
何故そうなったのか?
原因は数十分ほど前だ。
――授業終了の鐘が鳴った。
「ふぅ~、終わった~」
「おぅ義之! 飯にしようぜ」
同じクラスの板橋渉が声をかけてきた。
彼は言いながら財布をポケットから取り出してパタパタふる。
「悪いが今日は弁当だぞ?」
「え……」
キョトンとする渉に、義之は追い討ちをかける。
「ついでに貸してた二千円、今日返してくれ」
「な、お前……俺の所持金わかって言ってんのか!?」
「わかっていってる」
確か渉は現在二千二十円しかなかったはずだ。
「か、勘弁してくれよ義之~」
「利子ついて二千円だぞ。最初に貸したのは二百円だったのに」
義之がその話を持ち出すと、渉は泣きながら迫る。
「まっとくれよ義之ぃ~、いい情報をあげるから期限を延ばしてくれ!」
「――いい情報?」
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