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「眠い……」
言いながら大欠伸をする青年。
彼の名前は『桜内義之』、初音島に住む学生だ。
登校中に襲う睡魔はいつものことだが、今日は理由が違う。
それは、『他人の夢を見た』という理由。
馬鹿にされるのは御免なので他人に話した事はない不思議な力。
妙に現実的なので一種のストレスが溜まってるのかもしれない。
「ふわぁぁ~」
もう一度欠伸。
「朝からだらしないですよ、兄さん」
「うっせ、俺は夜遅くまで勉強してたんだ」
「嘘ばっかり」
義之と並んで登校している少女、『朝倉由夢』は彼のことを兄とよんでいる。
しかし、家が隣で数年間一緒に住んでいただけで血の繋がりはない。
その由夢であるが――、
「ふわあぁ~眠い」
先程注意しておきながらこれだ。
「お前も寝不足か?」
「兄さんと一緒にしないで下さい、私は勉強で寝不足なだけです」
「……」
返す言葉もない。
実際成績は由夢の方がいい。
(一学年年下なのに)
「で、兄さんはどうせ漫画かベッドの下のもの見てたんでしょ?」
「え……」
「気付かれないとでも思ってたんですか……?」
なぜかジト目で見られる。
(わ、話題を変えねば!)
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