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「そ、それよりお腹空いてるんじゃないか?」
「は? ……えぇまぁ。朝ごはん食べ損ねたし」
(よし! 食いついたぞ)
「じゃあこれ食うか?」
「……和菓子」
義之がポケットから取り出したのは、出来立てのスイーツ。
なぜ持っているかはこの際気にさせないことにする。
「朝から和菓子……」
「贅沢言うな」
「はぁい」
渡したそれをぱくぱく食べ始めた由夢の顔は、それなりに幸せそうだった。
(いつもコレなら可愛いげがあるんだけどな)
などと現をぬかしていると、
「で、ベッドの下のものの話に戻りますけど」
急に、すり替えた話を戻された。慌てた義之は、
「違うぞ! 俺は夢を見てたから眠いんだ」
「え……」
つい説明のしようのない言い訳をしてしまった。
が――、
「ば、バッカじゃないの!? 何、どっかから私を覗いてたの?」
「何言ってんだ! そんなわけあるか、ドリームの方だよ!」
それを聞き、さらに真っ赤になる由夢。
そのままプルプルと体を震わせたかと思うと、スタスタと小走りで前を行ってしまう。
「お、おい……」
「ふんっ!!」
(……朝から忙しいな)
その後、宥めるには和菓子を5つ程消費したのだった。
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