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「そういやあんた、理彩ちゃんとうまくいってんの?」
「いや…えぇっと…」
理彩は、誠が片思い中の女の子。
(2人、両思いだと思うんだけど…)
「頑張らないとほかの奴にとられるぞ?理彩ちゃん、人気なんだから」
「……」
誠は、聞こえない振りをして、すたすたと歩いていってしまう。
そして、いきなり振り返って。
「ま、究極、最後の手段として俺には千冬がいるし、大丈夫だろ」
──ドキンッ。
そんな笑顔で言われたら…。
(誠の…ばか…)
最低な言葉でも、私の胸は高鳴る。
かすかに熱を帯びた顔を見られないように、下を向いて歩いて誠に追いついた。
「学校。遅れる」
素っ気なくそう言って、私たちは学校に向かった。
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