知ってる?

5/7
前へ
/184ページ
次へ
「で?ご用件は?」 「別にぃ?」 放課後、みんなが帰った後、私は恵那(エナ)に呼び出されて教室にいた。 恵那は、いわば裕実の手下。誠に関する情報を集めている。 「用件ないなら帰っていい?」 「ないなんて言ってないぢゃぁん?」 疑問符返し。 (やっぱり恵那って好きじゃない…) 「千冬ちゃんってぇ、誠くんの携帯のアドレス知ってるよね?」 (そう来たか…) 「知ってるけど?」 「ぢゃ、話早いや。教えて」 「……」 「なに?教えてくんないの?」 教えるぐらい簡単。 (でも…) 『幼なじみ』の小さな小さな独占欲。 「直接聞けばいいんじゃない」 私は、そう言い捨てて教室から出ようとした。 「誠くんに言ってもいいわけ?」 私をあざ笑うような恵那の声。 「言えば…いいじゃない」 私はそう言って、教室を飛び出した。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加