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「で?ご用件は?」
「別にぃ?」
放課後、みんなが帰った後、私は恵那(エナ)に呼び出されて教室にいた。
恵那は、いわば裕実の手下。誠に関する情報を集めている。
「用件ないなら帰っていい?」
「ないなんて言ってないぢゃぁん?」
疑問符返し。
(やっぱり恵那って好きじゃない…)
「千冬ちゃんってぇ、誠くんの携帯のアドレス知ってるよね?」
(そう来たか…)
「知ってるけど?」
「ぢゃ、話早いや。教えて」
「……」
「なに?教えてくんないの?」
教えるぐらい簡単。
(でも…)
『幼なじみ』の小さな小さな独占欲。
「直接聞けばいいんじゃない」
私は、そう言い捨てて教室から出ようとした。
「誠くんに言ってもいいわけ?」
私をあざ笑うような恵那の声。
「言えば…いいじゃない」
私はそう言って、教室を飛び出した。
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