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「きゃあああ!綾、綾、しっかりおし!」
突如、家中に響きわたる母上の悲鳴。
あぁ、そうだ。
私はまだ寝ていたのだ。
「どうした!?」
庭で素振りをしていた父上がバタバタと駆け寄り襖を開けた、そこには…
「綾が…綾が…」
震える母上の腕の中には、吐血して震える姉上がいた。
数日前より体調を崩し寝込んでいたのだ。
様子を見に来た母上が姉上の体を起こした瞬間に吐血したと。
父上は村医者を呼び、診察結果を待った。
「おはようございます。父上?母上?」
廊下で項垂れる二人に鈴が挨拶しても返事は無かった。
それもそうだろう。
お祖父様は村長。必然的に父上は時期長なので跡継ぎは姉上としていたのだ。
鈴の次の子は授かる事ができなかった。
一般的には養子縁組をし、長男に継いでもらうのだが、父上は血を重んじた。
厳しい修行に耐えた姉上は十六歳でくの一引退という残念な結果になった。
鈴はまだ十一歳だった。
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