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「父上、鈴です。ご報告に参りました!」
襖の前で片膝をつき頭を垂れる。
「入れ」
音も立てずキビキビと動く鈴に、いつも労いの言葉を掛けてくれた。
「任務ご苦労であった。結果を聞こうか。」
「はっ!宗正様がお調べされてらっしゃった通り、奴は斉賀と繋がっておりました。奴と待ち合わせしていたのは、斉賀の槙田という下忍でした。捕らえて拷問中です!」
「うむ。では次の任務まで暫し休息を摂りなさい。」
「はっ。失礼します。」
部屋から出ると、姉上が廊下に座っておられた。
「鈴ちゃん、お帰り!怪我はしてない?」
儚い印象の姉上は、いつにもまして綺麗な笑顔をくれた。
「只今帰りました、姉上!お顔の色が良いですね。」
「えぇ、今日は体が軽いの。母上がね、鈴が帰って来たって教えてくれたから散歩がてらに歩いてみようと思って!」
普段は伏せっている事が多い姉上だが、このはしゃぎ様からすると他にも良い事があったのでは、と詮索した。
「それにしても嬉しそうですね!散歩以外に何かが?」
きっと私はニヤニヤとイヤらしい笑いを顔をしていたのだろう。
姉上は口を尖らせながらも、微笑み直して言葉を発しようと頬を染めた。
「あの、あのね、私、私、龍郎との祝言が、決まったの!」
凄い衝撃だった。
「そうですか、龍郎様と!おめでとうございます姉上!」
ちゃんと笑えて居ただろうか?
龍郎様…私もお慕いしていたのに。
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