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丘からは刀がぶつかり合う音と悲鳴が混ざりあった、混沌の地となっていた。 間も無く仕掛ける時… 義兄上と私は右手を上げると、勢い良く降り下ろす。 後ろに控えていた忍軍は、移動して来た時同様、再び跳んでは各々の仕事に向かった。 病人を避難させる者、敵を切る者、大将を摘む者。 「鈴、そちらはどうだ?」 ふいに名を呼ばれ、私は振り向いた。 そこには丘向かいに居るはずの義兄上が佇んでいたのだ。 「義兄上様…あれほど持ち場を離れるなと父上から注意されましたでしょう。」 丘に目線を戻しながら、鈴は冷たくあしらった。
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