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目線を丘に戻しても義兄上の気配は動かない。 「何用ですか…ご自身の陣を離れてまでのご用でも?」 陣の主たる要人が場を離れるなど言語道断。 その陣の指揮はいったいだれがするのか。 「そんなに目くじら立てる事もなかろう。真面目だな鈴は。」 (真面目の一言で終わらせて欲しくない…皆の命を預かっておるのに!) 「義兄上!…いいかげんに」 振り返ろうと顔を動かした視界の端に、丘で囲まれる父上がチラついた。 義兄上などどうでもいい。 鈴は瞬時に飛び、父と背中合わせになった。
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