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「鈴…」 父親は鈴を呼ぶと、隙を見せぬままに語り始めた。 「こ奴ら、精神を壊されておるぞ。痛みも感情もない人形になっておる…」 目の前に居並ぶ敵を目線だけで追うと、虚ろな闇に落ちた眼があらぬ方向を見つめていた。 「父上…」 一抹の不安を口にしようとしたが、ごくりと飲み込む。 「鈴、なんとかこの陣を抜けよ…お前は生きるのだ!」 村長であり最強と吟われる父親の言葉に目が見開く。 これしきの相手に遅れをとる様な人ではないと分かってはいるが。 しかし逆らう事もできない鈴は、目の前の二人を切ると静かに返事をし、また背中合わせに敵と対峙する。
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