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「ですがねぇ、お客は今“音楽”じゃなくて“僕”を必要としているんですよ?こんな話、無用だと思いますがね。」 「自惚れるな、この国での人気なんて所詮刹那的なものだ。お前みたいな見せかけだけの音楽などすぐに消え去る。」 一向に考えを改める様子を見せない態度に、青年は段々と苛立ち始める。 「消えませんよ……“俺”は、ね」 「……?」 青年は男の態度に違和感を覚える。 ただの自惚れとは違う、絶対的な自信のような、確信めいたものが感じられた。 一瞬、不気味に感じたが所詮は戯言と思い直し、青年は男に背を向ける。 「……もういい、お前がそう思うならそこまでだ。好きにしろ。」 「あぁ、いや、ちょっと待ってもらえませんかね。」 青年が去ろうとすると、思い出したように男が呼び止める。 何を今更、と思いながらも青年は立ち止まってしまう。 男の思惑も知らずに
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