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「ここだな。」
“1年B組”の表札が掲げられた教室を見付け、足を踏み入れる。
小学校の頃から見慣れた机と椅子が等間隔に並び、全面には使い込まれた教卓と黒板。まあ何とも代わり映えの無い教室だ。
さすがに入学式ともなれば他の連中も早起きしてくるらしく、教室内は既に結構な数の生徒で埋まっている。
ざっと見た所、知った顔はいないようだ。まあ、高校生にもなれば皆各々の進路に進むんだ。
高校に来てまで同じクラスになるやつなんて……
「よお、誠一じゃねーか!やっぱ同じクラスだったか!」
「え?誰?………………あぁ、ヤスか。」
「……今、ものすごい素で誰?って言ったよな……」
「悪い悪い、今のは冗談じゃないから。」
「そこは嘘だと言ってよセーイチィ!……つか、クラスメイトぐらい確認しとかよ、名前だけでも。」
「興味ねぇ。」
高校生活開始早々うざいテンションで絡んできたこいつは足戸 康史(あしど やすし)。通称ヤス。
俺とは小学校からの腐れ縁で、昔から彼女欲しい欲しいと言っているがその戦績は年齢=独身歴の一次関数。仲良くなっても友達止まりの典型的な三枚目野郎だ。
そしてこいつは彼女を欲しがる割にやたらと俺に絡んでくる。もしかしたらこいつ、薔薇の人なのかも知れない。
そうであったなら早急にこいつとの関係を再検討せねばなるまい。
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