1st TUNE:HOUSE

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「ここだな。」 “1年B組”の表札が掲げられた教室を見付け、足を踏み入れる。 小学校の頃から見慣れた机と椅子が等間隔に並び、全面には使い込まれた教卓と黒板。まあ何とも代わり映えの無い教室だ。 さすがに入学式ともなれば他の連中も早起きしてくるらしく、教室内は既に結構な数の生徒で埋まっている。 ざっと見た所、知った顔はいないようだ。まあ、高校生にもなれば皆各々の進路に進むんだ。 高校に来てまで同じクラスになるやつなんて…… 「よお、誠一じゃねーか!やっぱ同じクラスだったか!」 「え?誰?………………あぁ、ヤスか。」 「……今、ものすごい素で誰?って言ったよな……」 「悪い悪い、今のは冗談じゃないから。」 「そこは嘘だと言ってよセーイチィ!……つか、クラスメイトぐらい確認しとかよ、名前だけでも。」 「興味ねぇ。」 高校生活開始早々うざいテンションで絡んできたこいつは足戸 康史(あしど やすし)。通称ヤス。 俺とは小学校からの腐れ縁で、昔から彼女欲しい欲しいと言っているがその戦績は年齢=独身歴の一次関数。仲良くなっても友達止まりの典型的な三枚目野郎だ。 そしてこいつは彼女を欲しがる割にやたらと俺に絡んでくる。もしかしたらこいつ、薔薇の人なのかも知れない。 そうであったなら早急にこいつとの関係を再検討せねばなるまい。
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