─記憶─いのち

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そして、初めて蘭さんとお食事に行ったあの日、仕事を抜けてきたシンちゃんは怒って言った。 「俺達が付き合ってる事は、絶対にお店の人間に 言わないって、約束したよね?」 私達が付き合っている事を、私が認めた。 と蘭さんに言われたと。 「ごめん…。でもね……」 「でもとか、だってじゃ済まされないんだよ。」 「…ごめんなさい………。」 「俺はバイトじゃない、ゆいとは立場が違う。」 「でも、蘭さんは最初から私達の仲に気付いて たし、蘭さんだって桜木マネージャーと付き 合ってるの教えてくれたもん!」 「喧嘩しに来たんじゃないんだよ!言い訳聞く ために呼んだ訳でもないから、これからどうす るか考えよう。」 「えっ!どうなっちゃうの?」 「このまま付き合い続けるなら、罰金払うか、 どっちかがクビか…」 「じゃぁ、私が辞める。」 「…………いや、いいよ……」 暫く考えて、シンちゃんは口を開いた。 「ゆい?桜木からしたら、蘭は、あの日話した 色管なんだよ。ゆいはこのまま蘭と仲が良い 振りして蘭の機嫌を損ねない様に出来るか?」 「シンちゃんに言われなくても、私は蘭さんとは 仲良しだよ。」 「俺が言ってるのはもっとだよ。親友の様に 振る舞えるか?蘭が、ゆいを裏切れないと 思わせれば良いんだよ。振りで良いからさ。」 「振りなんて出来ない。今まで通りじゃダメ なの?嘘付くのはヤダ…。」 「わかった。暫くそれで様子見よう。4人で 遊ぶ約束したんだろ?桜木には俺から話して おくから、とりあえず4人で出掛けよう。」 「シンちゃん、私…シンちゃんのためなら、 いつでもお店辞められるからね。」 「ありがと。俺、店に戻るわ。」 「真也?」 ──────────────っ! お店に向かう途中、 とても艶やかな女性に呼び止められた。
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