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・・・舞い散る花びらの中に、佇むひとりの天使。
少し色素のうすい、さらさらの髪と艶やかな肌。
儚げなその立ち姿。
春風に揺れる前髪の奥で、細められた綺麗な形の瞳は、愛しげに桜の木を見上げていた。
一瞬、時が止まってしまったかのような錯覚に陥る。
聞こえるのは自分の鼓動だけ。
・・・恐らくかなりの時間ガン見していたであろう俺。
天使は気づいて、にこりと微笑み、羽ばたいて・・・いや、去って行った。
神さま!今のは幻ですか?
それとも・・・!?
しばらく、その場から動けないで突っ立っていると、遠くから鐘の音が・・・
嗚呼、神さま・・・
って、鐘の音?
「やべ、遅刻・・・」
ハッと我にかえる。
高鳴る心臓そのままに、式場目指して猛ダッシュするはめに・・・
くそぉ、やっぱり最悪だ!
満開の桜に見送られ、俺の高校生活は今、幕を開けた。
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