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それから俺が買われて何日たったのだろうか。
覚えきれない仕事量と理不尽な罵声、抵抗すれば殴られ蹴られ奴隷の癖にと言われた。
奴隷の食事はカビたパンと混ぜられた残飯のスープ。
奴隷の寝床は固いコンクリートに薄い毛布が一枚だけ。
「さぁミヤビ、今日は俺と一緒のベッドだかんな」
俺を寝床に追いやって、王子の一人が召し使いの肩を抱いて甘ーい声で消えていく。
やっぱりマスター、自由なんて平等なんてそんなのどこにも落ちてやしないよ。
「マスターマスター…なんで死んじゃったんだ、俺を」
「連れてってくれなかった、」
コンクリートに薄い毛布一枚の空間に俺じゃない俺の思考を口に出した王子。
あぁ悲しむ時間さえ自由なんてないのか。
「なんですかナツサマ」
「んふふ、大当たりだったでしょう?俺はシュウさんまでとはいかなくても中々聡明ですからね」
ニタニタ汚い笑い方で俺を見る王子は手招きをしながら続けていった。
「そんな俺ですからアンタにチャンスをあげますよ、上手くいけば奴隷生活から解放されるかもね」
どうする?なんて聞かなくても大丈夫ですよね、ついてきなさいな。
コンクリートの部屋を抜けて連れてこられたのはゴージャスに彩られたナツサマの部屋。
ふかふかのベッドに大きなソファ、それに床に散らばった楽器。
「今日はミヤビがいなくて退屈なんです。退屈しのぎに何かやってくださいよ」
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