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優一の顔はみるみるうちに真っ青になり
両膝はガクガクと震えながらも
その手を見詰めた
筋肉質な手で恐らく大人の男の手
その結合部は、鋭利な刃物で刈り取られていた
だが、1カ所おかしいところがあった
「血が…出てない…?」
刈り取られた結合部からは一滴の血も出ていなかった
優一の中である仮説が浮上した
(これは、良くできたマネキンの手なんかじゃないか?)
その考えが浮かんだ瞬間、安堵の表情を浮かべた
(そうだよ。これは良くできたマネキンだ)
ったく人騒がせなことしやがって、と溜め息を吐き
それを持ち上げた
だが、直ぐにそれを落とした
「なんで…、なんでだ!!」
優一が持ち上げたその手は
触った感触は本物と変わらない感触で
手自身が熱を持ち暖かった
そう、まるで
ついこの間まで生きていたかごとく
そのことに打ちのめされながらも
優一はその手を奥にある「もの」を見つけた
見つけてしまった
「っつ!!」
彼は全力で目を逸らすがもう遅かった
そこには
バラバラにされた、人であったものが転がっていた
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