第1話「紅き翼、ハサミ少女」

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優一の顔はみるみるうちに真っ青になり 両膝はガクガクと震えながらも その手を見詰めた 筋肉質な手で恐らく大人の男の手 その結合部は、鋭利な刃物で刈り取られていた だが、1カ所おかしいところがあった 「血が…出てない…?」 刈り取られた結合部からは一滴の血も出ていなかった 優一の中である仮説が浮上した (これは、良くできたマネキンの手なんかじゃないか?) その考えが浮かんだ瞬間、安堵の表情を浮かべた (そうだよ。これは良くできたマネキンだ) ったく人騒がせなことしやがって、と溜め息を吐き それを持ち上げた だが、直ぐにそれを落とした 「なんで…、なんでだ!!」 優一が持ち上げたその手は 触った感触は本物と変わらない感触で 手自身が熱を持ち暖かった そう、まるで ついこの間まで生きていたかごとく そのことに打ちのめされながらも 優一はその手を奥にある「もの」を見つけた 見つけてしまった 「っつ!!」 彼は全力で目を逸らすがもう遅かった そこには バラバラにされた、人であったものが転がっていた
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