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第1話「紅き翼、ハサミ少女」
「迷った…」
虚しさいっぱいの声が響く
その声の発生源、望月優一
彼はいつも違うが舗装された道を歩いていた
いた…はずなのだが
いつの間にやら森の中
そう
彼は、極度の方向音痴だった…
うがーっと、声を上げ頭を抱える
周りにあるのは木、木、木
木しか見えなかった
すでにどれだけ歩いたか分からない
どっちから来たのかどうかも分からない
つまり、彼は盛大に道に迷っていた
高校生にもなって迷子である
彼は、おもむろに立ち上がった
そして、そこらへんに落ちている木の棒を一本拾い
地面に突き立てた
そして、棒を持っている手を放す
当然、棒は真っ直ぐに直立する事はなく
地面に倒れる
そして、棒の倒れた方向を確認し
「よしっ、こっちだな」
意気揚々とその方向へ歩き始めた
…ベタもいいところだった
あまりにもベタ過ぎているが
彼はそんなことお構いなしに進んで行く
ある程度進んでは
また棒を倒し
また進んでは
また棒を倒し
その作業をひたすら繰り返したが
当然ながら森の外に出ることはなかった
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