第1話「紅き翼、ハサミ少女」

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日もだいぶ傾き始め 方向音痴の少年は一人焦っていた 棒を倒しても倒しても 森の出口らしきもの一向に見えてこない …こんな適当なやり方で大丈夫なわけがない だが彼は、ひたすら棒を倒し続けた 幾つもの棒を交換し 何度も何度も倒し続けた 倒した数が3桁に差し掛かった頃 木と木の間に 土や木の茶色ではなく 葉っぱの緑ではなく 真っ白なものが見えた それを確認すると同時に彼は駆け出した だんだんとその白いものに近付く 近付くにつれ、そのものが大きいことに気付き それが、コンクリートであることに気が付いた つまり、建物である ようやくこの「迷いの森」(優一が命名した)から出られる その気持ち一つに彼は走る 建物の前までたどりつき 建物の全貌を見渡し 彼は両膝を着いた 窓ガラスは全て叩き割られ 壁には沢山の凹みやひび割れが生じており このような建物を一言で言うのであれば 「廃墟」そのものであった
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