出会い

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「もういいや」 もう一度、女は言った。 フッと目を細めて俺を見てる。 「じゃ」 …… じゃ? スックと立ち上がってペコリと頭を下げる女。 は? ちょっと待って。 いくらなんでも… 「おかしいっしょ!」 背中を向けてスタスタと歩いて行く女の腕を、俺は慌てて掴んだ。 「何それ?何の説明もなし?バカにしてんの?」 なんか 俺、必死じゃない? 大声あげて。 ほら、周りの視線が痛いよ? 「ごめんね」 小さくそう言って、ゆっくり女は振り返った。 にこり 笑ってる。 その寂し気な笑顔に、俺は何も言えなくなってしまった。 「ごめん」 ポツリと言って、女は再び歩きだす。 力が無くなった俺の手からすり抜けて。 なに? もう 意味不明。 女の行動も、俺の反応も。
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