出会い

15/24
前へ
/99ページ
次へ
改めてスタジオ入り。 女とサトルさんの関係を知った瞬間、さっきまでのモヤモヤもどっかへ消える …筈だったんだけど。 女…アコさんの顔が頭から消えてくれない。 それに、サトルさんに彼女がいるだなんて初耳だ。 まぁ、いてもおかしくないんだけど。 特定の女がいるだなんて、今まで想像すらしたことなかったから。 なんか、意外。 「相変わらず遅刻~」 ドラムスティックで俺を指しながら、ヘラヘラと笑う洋ちゃん。 「女だ女」 ベースから目を上げてフッと目を細める伊東さん。 「違いますって。学校が…」 嘘の言い訳を始める俺。 PARADE OF CHAOS ここが、俺の居場所。 サトルさんが造った王国だ。 やりたい音楽。 居心地がいいのは、それだけが理由じゃない。 同じ音楽をやれる仲間がいるってのは、こんなにも素晴らしい。 「お願いしまーす」 それから俺は、頭のモヤモヤを吹き飛ばす様に愛しい相棒を鳴らしまくった。 明日から夏休み。 この日の練習は、嫌でもテンションが上がった。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加