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「唯~今年も海行こうぜー」
バシッと背中を叩かれて振り向くと、康太がいた。
満面の笑み。
てか、俺ってそんなに叩きやすい?
「いいねー。連絡して」
負けずに笑顔で返すと、康太は練習があるからと言ってさっさと教室を出て行った。
確かサッカー部だったよね。
夏休みも練習ばっかなのかな。
康太とは一年から同じクラスで、何かとつるむ機会が多い。
明るくてスポーツマンで、笑顔の似合う人気者だ。
恥ずかしい例えだけど、太陽みたいな奴だと思う。
それから、康太は恩人だ。
「アレ、まだ席にいたの?そんなに学校が名残惜しいんだ?」
声のした方に目をやると、教室の扉からひょっこりと顔を出す彼女の姿。
美穂だ。
可愛くて堪らない、俺の大好きな人。
「そうなの。俺、学校大好き人間だからさ」
机を抱き締める様に腕を回すと、美穂はプッと笑った。
「馬鹿言ってないで帰ろ」
素直な俺は、大好きな机と教室とバイバイした。
さようなら。
暫く会いたくありません。
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