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「中学から付き合ってるんだ」
そんな報告を受けたのは、入学して一ヶ月もたたない内だった。
すっかり意気投合した俺に、得意の満面の笑みを向けながら、康太は彼女の肩をポンッと叩いて告げた。
恥ずかしそうに笑う小さな彼女は、多分誰から見ても可愛らしいと思う。
クラスは隣だったけど、昼飯は一緒に食べるみたいで、俺も幾度となく誘われた。
二人の関係を近くで見てると、正直羨ましかった。
そりゃそうだ。
当然の感情だ。
可愛い彼女なら、誰だって欲しい。
そんなある日、康太の彼女、香織ちゃんが連れてきた友達。
「美穂っていうんだ。仲良くなったの」
よく一緒にいるのを見かけたから、顔はなんとなく知っていた。
香織ちゃんとはタイプの違う、背の高い、ちょっとツンとしたプライドの高そうな女の子だ。
でも、自然に目がいくぐらい綺麗な子だった。
「一緒してもいい?」
隣に座った美穂は、ちっちゃなお弁当箱を開けて、「タコさんウインナーいる?」と聞いてきた。
いきなり何なんだと思ったけど、お箸でつまんで「はい」と俺の弁当箱に入れる仕草とそのはにかんだ顔が、なんとも言えず可愛かった。
なんか、想像してたよりいい子かも。
そう思ってから恋に落ちるまでに、あまり時間はかからなかった。
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