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「ねぇ、ライヴやるの?」
校舎から離れると、隣を歩く美穂は俺の腕を引っ張りながらそう尋ねた。
「やるよ。15だったかな」
「だったかなって、てっきとー」
フフッと笑って腕を絡める美穂。
ライヴね。
そう。
むちゃくちゃ楽しみにしてるってバレるのが恥ずかしくて、変な言い回しをしてしまった。
「観に行くね。いつもんとこでしょ?」
「あぁ。ありがと」
へへ~っと顔を見合わせて笑い合う。
哀しいほどにバカップル。
まだ軽音部に席を置いていた頃、美穂は康太達に連れられてライヴに来た。
その頃やってた音楽はどう考えても趣味じゃなかったけど、思えばひたすらギターをギュンギュン鳴らす俺に美穂は好意を抱いてくれたんだと思う。
モテようと思ってやってる訳じゃないけど、そこから関係が深まったのも事実。
次のライヴを見に来た美穂は、俺の事が好きだと言った。
だから康太には感謝してる。
香織ちゃんと付き合っていてくれたこと。
美穂をライヴに連れてきてくれたこと。
香織ちゃんにも感謝しなきゃ。
美穂と友達になってくれてありがとう。
どう考えたって、俺は今幸せだ。
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