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最後まで目をそらしていた…見なくても分かるからだ、奴の苦しみ悶える姿が…これもデジャヴか…一度途切れた記憶だったが、ここに来てまた走馬灯のように蘇るのだ‥0266の死を見据えている見開いた目が脳裏に焼き付くのだ…
ガチャ
ピー
試験会場の扉が開いた、しかしスーツ姿の男は消え、代わりに廊下に矢印がペイントされていた…これに従って次の試験会場に行くのか…ふと元来た道を見る。帰れるかも、いやこの試験を辞退して帰るんだ…そう思い、引き返そうとするのだが…元来た道は鉄格子で阻まれていた…
「クソ…ふざけやがって‥帰れないのかよ!?こちとらもうやめてぇんだよ!!」
いくら壁を蹴ろうと俺達の願いは叶わなかった。
「落ち着け、さっきはすまなかった…突然脳裏に浮かんだんだ…運に任せると言って君ら2人のどちらかの人形を捨てる‥前に一度体験しているみたいだった…言うなれば‥デジャヴだ」
「…待てよ‥今なんて言った?」
「だから、すまなかったと」
「違う!その後だ!」
「デジャヴのようだと…」
デジャヴ…こいつも見ていたのかあの映像を…いや、だとしたら俺が人形に飛びつくのも分かってたはずだ‥まさか、俺とこいつが見た映像は違う…?
「ははは…ははははは!!分かったよ‥分かっちまったよ!これはなんかの実験なんだ、人に人の記憶を埋め込む実験なんだよ、だから俺もお前もあの映像を見た、でもあの映像は俺達の記憶じゃ無くて他の誰かの記憶なんだ‥そうだそうに違いない!」
「おいおい、ちょっと待てよ‥お前もあの映像を見たのか?」
「ああそうだ、お前らの考えが手に取るように分かったよ‥」
「そうか…とりあえずその話しは置いておこう…名前は確か、0035だったよな?」
「ああ」と俺が言ったのだが…その声は0135の笑い声でかき消された…
「ふふ‥ふはははは!人の記憶を埋め込む実験だって!?君達まさか特別試験者?0035は最初の試験監督への質問ですでに怪しかった‥でもそれは演技だとも思った‥とんだ勘違い…そしてまさか0846までも特別試験者だったとはねぇ」
0135が我に返ったように語り始める‥それはまるで、今までの警戒が解かれ、自由になったサーカスの象のようだ…冷たい鉄柵が突然消えた象は、今まで見せなかった一面を見せた…そして秘密を語り出す。
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