変化。

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「イケメンの弟がいると思えば……あのお友達は反則でしょー」 亜美は頬に手を添えてうっとりした表情でそう言ったあと、私に鋭い眼差しを向けてきた。息を飲む。 「ていうか一緒に帰る予定だったの?」 「へ?いや、違うと思うなぁ……多分」 ポリポリとこめかみを掻きながら下駄箱のフタを開けて、ローファーを取り出す。亜美は、へぇ、と目を細めて、納得いかない感じだったが、手に持っていた携帯が鳴り画面を確認すると、「明日詳しく聴かせなさいよね!」すごい速さで玄関を出て行ってしまった。亜美には付き合っている人がいるから、多分その人からの連絡だと思う。 私もすぐに学校を後にした。 ――数週間後。 私の想像以上に事は重大化していた。あの上条龍一によって。 上条くんの人気はうなぎ登りだった。この学校は整容があまり厳しくなくて髪を染めることが許されている。だから髪を染めてる人なんてたくさんいるのだけど、蜂蜜色の彼の髪は一種のシンボルになっていた。似合いすぎるらしい。
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