変化。

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肩を竦めたハルに鼻で笑ってやった。あそこのクレープを奢ってもらおう。私はじゃあね、と言ってハルに背を向けると同時に、「くるみさん!」聞き慣れた明るい声が私の耳に入ってきた。 「何でここにいるんですか?あ、ハルに弁当?」 右手にパンと左手にオレンジジュースを持った上条くんは私とハルを交互に見て、「良かったなハル。くるみさんのおかげで」綺麗な笑顔を見せた。いたって普通の誉め台詞にも関わらず、言っている人によって破壊力が倍増している。嬉しいより恥ずかしい。 顔を赤くする私の後ろで肩を揺らして笑っているハル。こいつ絶対楽しんでるだろう。私はハルの足を踏みたくなったが、それよりもこの場を後にしたかったので、私は「そ、それじゃあ!」走って自分の教室に戻った。 「くるみ……随分ぐったりしてない?」 「うん……お腹すいた……」 うーうー、と唸って机に伏せている私の頭を亜美は苦笑を浮かべて撫でた。周りのクラスメートが変な目で見ていることには気付かなかった。
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