再会。

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これはまさしく、“あの場面”だと思う。 経験がないわけではない。二回あった。中学の時と去年の二回。だけど、そうは言ってもやっぱり直接と間接では大きな違いがある。 ついでに言うと、どちらも間接だった。――バリバリの現代っ子だからね、私達。 「呼び出してごめん」 「いいよいいよ!暇だったし」 この緊張感……! 私と彼の真上には、大きな桜が咲いている。少女漫画の世界に入り込んでいるみたいだ。彼は緊張で顔が強張っていた。 去年クラスが一緒だった彼とは委員会が一緒で仲良くなって、それから良いお友達として接してきた。二年生になってクラスが離れてから数日後、私はここに呼び出されたのだ。 「あの、さ……渡辺」 そう。これは間違いなく――(直接)告白シーン! 憧れていた。こうして目の前で告白されること。過去二回はどちらもメールという便利なものだった。 「いきなりでごめんだけど……。俺、渡辺――くるみのこと」 ドクドクと高鳴る心臓。高揚感。彼は一度口を閉じて、またゆっくりと開いた。 ――ガサ。 …………ガサ?
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