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運動会はなかなかの盛り上がりを見せていた。私は既に一つ競技を終えて、あとはラストの団体競技なのでそれまでは応援のみだ。
「暑いなぁ……」
気温が予想以上に高くなってきて、少々身体にこたえる。ブルーシートに座って持ってきたスポーツドリンクを手にすると、その軽さに嫌な予感がした。そっとペットボトルを顔の前に掲げてみると、案の定ほとんど空っぽだった。私は財布を取り出して立ち上がり、校舎にある自販機に向かった。
いざ校舎に着くと、玄関近くの自販機はすごく混んでいたので、しょうがなく体育館入口にある自販機まで行くことにした。
途中でトイレを済ましてから体育館の自販機でドリンクを購入した私は、その場で何口か飲んだ。あー、生き返る。
――ガタン!
ペットボトルのキャップを閉めたと同時に、体育館の中から大きな物音がして、私はそっちを凝視した。
――ガタッ!カランカラン……。
数秒後、再び大きな物音がした。何の音だろうとそっと体育館に入ってみたけど、中には誰もいなかった。誰もいないのにこんな物音するのも怖いんだけど、と思いながら再び見渡すと、用具室の扉が少し開いているのが見えた。
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