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「龍一くんでーす」
ハルは上条くんに向かい手を出して私にそう言った。楽しんでやがるなこいつ。私は口元をひきつらせ「いらっしゃい」一言言ってリビングに戻った。
リビングに戻り、ソファに座ってテレビを見るものの、あまり集中できなくて私はテレビを消した。
……寝ようかな。ソファに横になって携帯を開く。いいかんじに眠くなってきたところで、リビングの扉が開く音がした。ハルが飲み物をとりにきたのだろう。私は身体を起こさずに、口を開いた。
「新しいペットボトル冷蔵庫にあるから開けていいよー」
返事はなく、だけど冷蔵庫を開ける音がした。私は目を瞑って睡魔に大人しく飲み込まれようとしていると、
「飲み物ありがとうございます」
ハルとは違う低すぎず高すぎない凛とした声がして、私は目を開けた。
「か、上条くんっ」
上条くんはペットボトルを両手で持って、ソファをのぞき込むように前傾姿勢でそこにいた。
私はゆっくりと身体を起こして、ソファから立ち上がろうとしたら「座ってていいですよ」肩を優しく押された。ドキッとすると同時に力が抜けて、どさりとソファに落ちるように座った。
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