休日。

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低くて掠れた声が私の背筋をぞくりとさせた。その一言で空気は一変し、私は息を飲んだ。上条くんはクスッと笑って、「ねえ、早く」私の手首を更に強く握り、逆の手で私の左肩を掴んだ。 「言ってくれないと、何するか……、分かんないですよ?」 「っ、」 ぐっと左肩を押されて、私は後ろに倒れそうになったのをなんとか堪えて、上条くんを睨みつけた。 「上条くん。少し離れよっか」 「……名前」 「か、上条く――」 急にすごい力で私はソファに押し倒された。「ちょっと!」びっくりすると同時に身体をすぐ起こそうとしたが、上から上条くんに押さえつけられて、そんなことは出来なかった。無表情で私を見下ろす上条くん。何を考えているのか分からなかった。 「か、上条くん。こういうのは――その、駄目……だよ」 「くるみさん、俺さっき言いましたよね」 上条くんは静かに言うと、整いすぎているその顔をどんどん近づけてそのまま唇を耳元まで寄せた。 「――何するか分からないって」
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