ライバル視。

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「龍一!ハル!今帰り?」 可愛らしい声が玄関に響く。忙しい野郎どもだな、鼻でふん、と小さく笑い靴を地面に置いて会話に耳を傾けた。 「私たちも今から帰るとこでさー、良かったら一緒に帰んない?」 さっき君たちは『きた』と言ってなかったか。いや、待ち伏せを包み隠さず言う方が珍しいか。ていうか何故弟まで――。 私は一人で思案していると、ふと視界に光がなくなった。なんだと思って顔をあげると、龍一が立っていた。あれ、と首を傾げると、同じように首を傾げられた。 「帰りましょう」 「……さっきの子たちは?」 「え?……あぁ、帰っていきましたけど」 「一緒に帰ろうみたいな話になってなかった?」 「そんなの断りましたよ」 「何故」 「何故?くるみさんと帰るからに決まってるじゃないですか」 当たり前です、と言い切る龍一に私は眉を顰めた。途端に龍一は泣きそうな顔で「俺があの人たちと帰ったほうがよかったんですか」呟いたので、私は言葉に詰まった。本当にその顔は苦手なのだ。 「……いや、良くも悪くも影響はあまりないっていうか――あ」 「……」 あまりにも悲劇的な表情になったので、とりあえず一緒に帰ろう、と突発的に言ったら、彼はすぐに笑顔になった。
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