ライバル視。

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まぁしょうがない。ハルはそういう奴なのだ。私はそう開き直って、再び顔をあげて歩き出すと、隣に立っていた龍一も口元に笑みを浮かべたまま歩き出した。 「そういえば龍一は、甘いもの好き?」 「好きですよ。いつもお菓子とかアイスとか食べるし。ケーキも」 「へぇ、そうなんだ」 龍一がケーキを食べているところを想像するとものすごい絵になるな、と気付く。正直、箸よりフォークの方が似合いそうだ。私は一瞬だけ、と龍一に視線を向けると「っわ、」ばっちり目が合ってしまった。龍一は目を細めてどうしました、と首を傾げる。 「……何でもないデス」 自惚れてるかもしれないけど、龍一はずっと私を見ていたのだろうか。いや、たまたまだろう。小さく息を吐いて、夕日色に染まるコンクリートを見つめた。 「そ、それじゃあ……」 家に着いてひらりと手を振ると、その手を包むように掴まれた。予想外の行動に思わず目を丸くする。 「くるみさんは甘いもの好き?」 「へ……ま、まぁ」 「そう。良かった」 何のこっちゃ、と目の前の男を凝視すると、ぐいっと強い力で引き寄せられた。 「俺、何よりも誰よりも、甘いですから」 耳元でした艶のある低い声が、私を震えさせた。 「それじゃあまた」 気付けば視界に入るのは龍一の背中で。 ――誰よりも甘いって……何!? 歩いていく彼の言葉に、嫌な予感を感じずにはいられなかった。
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