ライバル視。

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夜の六時前、ハルがひょっこりと帰ってきた。着替えを済ましてリビングに入ってきたハルをソファに引っ張り込み、隣に座らせた。 「何したの」 「あんた、玄関で会った女の子たちと食べにいったの?」 「うん。クレープ」 「……それだけ?」 「うん」 淡々と頷くハルをぎろりと睨みつけて、「嘘だ」と呟くと、怪訝な表情で「何がさ」と返してきた。「本当は、クレープ食べた後にもどこか誘われたんじゃないの」「あー……」私の質問にハルは天井を見上げて頬を掻き何かを思い出すように、そういえば、と呟く。 「言われたっけ。うん。でもほら、晩飯食べなきゃって帰ってきた」 「…………」 「あれ?つかよく分かったな」 「そうね、まあ……ね」 「何かすげぇ色々話したんだけど、俺は正直クレープに夢中で会話の内容あんまり――」 期待を裏切らない奴だ、と苦笑する。それにしてもあの二人がいたたまれない。主目的の一人である龍一には断られ、おまけであろうハルにはこれからという時に帰られて。……龍一が断った理由に私は関係ないことにしておく。 「あんた、もう少し女の子の気持ち考えなさいね」 「んー?うん」
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