ライバル視。

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協力してほしいと言われたことは今までにも何度かあった。でもこんな真剣に頼まれたのは初めてだった。 「私は何も力になれないですよ。龍一、くんとはそこまで仲が良いとかじゃないし。それに香坂さんなら別に私の力なんてなくとも――」 「駄目なんです!」 「っ!?」 急に私の両肩を掴んだ香坂さんは、叫ぶように言った。さっきとのギャップに圧倒され、狼狽した。ぐぐぐ、と力が込められていくのが分かる。 「龍一くん、元々女の子とはあまり話したがらないみたいなんです。あ、私はまあ――それなりに――ですけど、渡辺先輩に比べたら全然だし……。だから、渡辺先輩と知り合いになれたらなって思ってて」 そこまでして手に入れたいのか、と思わず感心した。そしてちょっと変態な龍一を思い浮かべ、複雑というか、香坂さんには勿体無い気もした。結局は見た目か、と肩を落とす。 「渡辺先輩?」 「ん?あー……でも私、本当に何も――」 「いいえ、そんなに謙遜しないでください。頼りにしてます」 香坂さんはそう言って目を輝かせ、私の手を掴んだ。私は苦笑いすることしか出来なかった。
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