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「夢遊病ノック」 君は話すわけです 扉という奴は閉めるためにあるのだと ただ穴を穿つだけで事足りるところを わざわざ板を取り付けさも 壁があるかの如く見せているのだから 扉は閉めるためにあるのだと それを聞いた僕は喋るわけです 扉という奴は開けるためにあるのだと 最初から壁として成せばいいところを わざわざ板に挿げ替えかつ 取っ手とやらまで付けているのだから 扉は開けるためにあるのだと 夢でも僕等は君に会えずに 夢でも君等は空も飛べずに ただドアに叩きつける何かが その音で私を覚醒させんと もう今日も煩くキックでノック 夢でなら僕等は存在を消去 夢でなら君等の存在も消滅 ただドアを叩きつける拳が その音で私を覚醒させんと ああ今日も喧しくノックアウト 君は話すわけです 人間という奴は疑うことで成長すると 何の疑問も抱かずただ呼吸する輩を 愚かな馬鹿と呼び捨てさあ この世の全てが無実の偽善なのだから 疑惑と疑念に塗れましょうと それを聞いた僕は喋るわけです 人間という奴は信じることで実在すると 何も信じられずただ疑い彷徨う輩を 哀れな阿呆と呼び捨ていざ 一つの確証などもない世界なのだから ただ直向にこの愛を信じましょうと それでもなお君は嗤い だからこそ今僕は笑う
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