溢れたのはきっと愛

2/5
前へ
/40ページ
次へ
愛されることは怖いこと。 そう覚え込まされた俺の未来に幸せなんかくるのだろうか。 「……」 「ただいま!」 「…おかえり」 遅くなるとメールが届いたのがつい五分程前のこと。 差出人はニコニコ笑顔を飾る目の前のコイツ。 「……つか、」 だが俺には、遅くなるんじゃなかったのか、とか言う前に是非とも問いたいことがあった。 「なにその犬…」 彼のスーツの上着の中で可愛いらしく舌を出している子犬。 薄い茶色の毛に垂れた耳、くりくりした目なんか可愛いことこの上ない、が……。 「拾った!」 「拾ったぁ?」 眩しいくらいの笑顔でそう言われたって、意味が分からないことに全く変わりはない。 どこから拾って来たんだか…。 どやして問い質したい。だが、季節はまだ春の手前。 「…はぁ、とりあえず入れ」 …俺はため息一つ溢し、目の前のバカを家に入れるのだった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加