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苛々しながら帰るのはマンションの二階。新入社員にしてはそこそこ良い物件だ。
…引き払うけどね。
すると僕の部屋の前に黒猫が居た。
そして、どこから入り込んだのか烏が追われてギャーギャー喧しく鳴いていた。
…おいおい。
どうやら今日は僕の厄日らしい。家の前で黒猫と烏を見たのだ。…あーでも厄はもう起きた後…
べちゃ
……はーいさっきまで雨に打たれていたスーツが今度は烏の糞に打たれたよー。
……ぶち
「だっーー!!!!」
半狂乱になってスーツを脱ぎ烏に投げつけると、見事にそれは烏を丸ごと包んで壁にぶつかり地面に落ちた。
するとそれを見た猫と目が合った。
あ……。
コンマ一秒猛烈ダッシュ!!
猫と同時に走り出し、猫パンチを繰り出してくるに黒猫のにくきゅうを左手で逸らし右手でカウンター。
にゃんと言う間にスーツごと烏を持ち上げ脇に抱える。
I'm Winer!!カンカンカン!!
猫の腹に平手打ちを加え烏を抱えて勝ち鬨の声を上げる退職者がそこに居た。
……ここまでの落ちぶれようも中々有るまい。
「五月蝿いよバカたれ!!」
…振り返ると大家さんが般若の顔で仁王立ちしていた。
その後僕は成人後に自分の家の玄関の前で烏を抱えて叱られるというもう少しレベルの高い落ちぶれようを見せた。
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