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翌日、エドワードが船に戻ると物音で目を覚ましたフィリップが出迎えざまに嫌な顔をした。
原因は彼が妙なものを背負っているせいである。
「だーかーら!変なもん拾ってくんなってあれほど言っただろ」
この日、エドワードが拾ってきたのはさほど美人ではないが愛らしい若い女だった。
しかも寝巻姿のままだ。
エドワードも年頃なのだから女に興味を持ってもおかしくはないのだが、どうも嫌な予感がしてフィリップは頭を抱えた。
「勘弁してくれよ」
「何言ってるんだ、彼女は僕の将来のお嫁さんだよ」
「はぁ!?」
エドワードは悪びれもせずにこにこと微笑んだ。
フィリップはもう長いことエドワードと行動を共にしているが、いまだに彼の真意は量りかねるところがあった。
果たして今回は酔った勢いなのか、本気なのか…。
「あ、まだ空いてる部屋あったよね?」
「ああ。って、お前の部屋に連れて行くんじゃないのか?」
「僕の部屋に連れこんだら我慢する自信なんてないよ」
「我慢する必要あるのか?」
「当たり前だろ。僕は紳士なんだから!」
てっきり嫁だのとぬかすからそういう関係だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
「紳士…あっそ」
「つべこべ言わずに空き部屋に寝かせといてよ。くれぐれも起しちゃダメだよ!それと、逃がさないように」
そういって彼は女をフィリップに任せ、自分はさっさと寝床についてしまった。
―逃がさないように…?
「全く、これどうしろっつーんだよ…」
フィリップは女を抱き抱えたまま、人知れずにため息をついた。
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