ようこそ海賊船へ

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彼は金髪に緑の瞳、白い肌を持つアンドリューとは対照的に黒い髪、金色の瞳、やや浅黒い肌をした精悍な青年だ。 彼はアンドリューが街を散策しているときに知り合った友人の1人でディンガーという。 アンドリューはディルと呼んでいるが。 ディルは男っぽくてさっぱりした気にいい青年で不思議とアンドリューとはよく気があった。 「ああ、ディル。久々だね。何しているの?」 「これから市場に買い出しだよ。今日からリジーに客がくるらしくてさ」 リジーというのは彼の幼馴染のリゼッタのことだ。 彼女はアンドリューも何度か会ったことがあるのだが元気でちょっと気の強い女の子だった。 事情は話せば長くなるので省略するが、ディンガーは現在そんなリゼッタの家に居候中でどうやらお使いを頼まれたらしい。 「なんだか大変そうだね」 「まぁな。あ、なんならお前も遊びに来るか?」 「いや、ぼくが遊びに行ってもしょうがないだろう」 アンドリューはやんわりとディンガーの誘いを断った。 しかし、彼はめげなかった。 「んなこというなって。リジーに客が来てる間、オレ一人じゃ暇だろう。今日一日の暇つぶしくらい付き合えよ。あ、でもその前に市場な」 そういってディンガーは半ば強引にアンドリューをリゼッタの屋敷に招待したのだった。 これにはアンドリューも困惑したが、まぁ彼のこんな所も嫌いではない。 いざディンガーに連れられ、やってきたのは立派な白亜の城だった。 リゼッタが公爵の娘だと言うのは聞かされて知っていたのが、こうやって屋敷に来るのはこれが初めてだ。 「立派なお屋敷だね」 「綺麗だろ?リジー自慢のお屋敷なんだ」 「本当にぼくがお呼ばれしていいのかな?」 「大丈夫だって。リジーにはアンドリューもあったことあるだろ?リジーの親父さんだってオレの友達だっていえば快く迎えてくれる」 「そう。ならいいけど」 そして2人は屋敷に着くなり、リゼッタを訪ねた。 もちろん、ディンガーのお使いを果たすためだ。 「リジー!買ってきてやったぞ」 「ありがとう、ディル」 リゼッタはディンガーから甘い焼き菓子を受け取って嬉しそうに笑った。 そしてふと、ディンガーの後ろに立っていたアンドリューの姿に気づく。 「あら、アンディじゃない。ごきげんよう」
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