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「やあ、リジー。突然お邪魔してしまったけど、大丈夫だったかな?」
「ええ、大丈夫よ。どうせディルが無理やり誘ったのでしょう?」
どうやらリゼッタにはディンガーの行動などお見通しらしい。さすがは幼馴染だ。
「そうだ!そろそろ私のお友達が来る頃なの。はるばるマデルンから来るのよ。アンディも一緒にお茶でもいかが?」
「ぼくも一緒にだなんていいのかな?」
「是非そうして!アンディのような華やかな美男がいてくれたらきっと彼女も喜ぶと思うわ」
「美男だなんて誉めすぎだよ」
「いいえ!アンディったら自分がどんなにイイ男か鏡見たことないの?私の友達でもあなたのこと見て惚れちゃった女の子は1人や2人じゃないんですからねっ!」
そういってリゼッタはにんまりと笑った。
するとその時、玄関のベルが鳴って彼女は待ち切れずに駆けて行った。
そして数分後、彼女は1人の女の子を連れて戻ってきた。
テーブルの上にはすでにお茶の準備は整っていて、焼き菓子のいい匂いが部屋中に充満していた。
「この子がマデルンから来たお友達のシャルディよ」
「初めまして!」
シャルディはディンガーとアンドリューの前で可愛らしく会釈してみせた。
「あっ!」
「どうかしたの、アンディ」
アンドリューは彼女のドレスに見覚えがあった。
蜂蜜色でフリルのふんだんについた…そう、あの時ぶつかった女の子だ!
こうして改めて見ると確かに顔立ちは幼いが年はアンドリューとそれほど変わらないのかもしれない。
「シャルディに紹介するわね。こっちのがさつそうなのが幼馴染のディルでこっちの美人さんがディルのお友達のアンディよ」
「がさつってなんだよ」
「見たままを言っただけよ。何か間違ってた?」
リゼッタは悪びれる様子もなく悠々と言った。
彼女とディンガーはなるほど良いコンビだといつも思う。
「初めまして、ディル。リジーから話は聞いてるわ」
シャルディはまずディンガーに握手を求め、その次にアンドリューに目を向けた。
「初めまして、アンディ」
どうやら彼女の方はアンドリューのことを覚えていないらしかった。
覚えていないのも無理はないと思うのだが、少々がっかりしたのも事実。
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