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「アンディまで?だったらいいわ、大したものはないけどご案内するわ」
そういってリゼッタは快く屋敷の中を案内してくれた。
この屋敷はやはり外装にたがわず、内装もセンスがよい。
リゼッタ自慢の屋敷というのも頷ける話である。
「凄いわ!本当のお城みたい!!」
一通りの屋敷を回るとシャルディは目をキラキラさせて興奮気味に言った。
その横顔を見ていたアンドリューはなんだか心が温かくなるのを感じた。
「私、小さいころこんなお城に住むのが夢だったの。数日でも叶って嬉しいわ!」
「喜んでもらえたなら私もご招待した甲斐があったというものね。ゆっくりしていってね」
しかし、そんな2人を横目にディンガーはどことなく憂鬱そうだった。
「リジーが2人…。オレ、ストレスでどうにかなりそうだ」
「そう?ぼくは嫌いじゃないけどな」
「だったらお前、毎日遊びに来いよ。もちろんオレのために!」
「別にいいよ」
「言ったな?絶対だぞ」
「うん?」
「お前は知らないんだよ、女の恐ろしさを…!」
アンドリューは大袈裟な、と笑ったがディンガーは真面目な顔を崩さなかった。
そしてアンドリューは律儀にもディンガーとの約束通り、シャルディが滞在している間は毎日遊びに来た。
特に大事な用事があるわけでもなかったし、ディンガーが嫌がる理由も知りたかったからだ。
だが、毎日一緒に過ごしてみるとなるほど確かに大変だと言うことが身にしみた。
彼女たちは朝からきゃっきゃとはしゃぎまわり、2人は終日連れまわされ、話の相手をさせられた。女とは話題の尽きない生きものらしい。
「ちょっとだけ、ディルの大変さがわかった気がするよ」
「だろ?」
彼女たちの相手をするには並大抵のパワーでは到底かなわないのだ。
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