約束の場所

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私はまだ、夢でも見ているんだろうか? 貴方がこの場所にいるなんて…。 「何って…約束果たしに来たんだよ。」 「ば…ばっかじゃないの!?」 約束なんて、今更… 「ばっかじゃん…。」 涙が溢れた。 「つーか、あんた、記憶は!?戻ったんでしょ!?」 「うん。」 「彼女は!?」 「別れたよ。」 私は思わず呆然としてしまった。 「…馬鹿だね。」 「俺もそう思うよ。」 「…。」 「ふて腐れんなよ。」 敦は笑うと、優しく涙で濡れた睫毛を拭ってくれた。 「ずっと、覚えてたの?」 「うん。」 「嘘つけ。」 「忘れようとはしたけどね。」 敦と私は、同じだった。必死にお互いを忘れようとしていた。でも、出来なかった。 「えーっと、まず、誕生日おめでとう。…‥俺と、結婚して下さい。」 そう言って小さな箱を私に差し出した。 まさか… 「これ…、」 ドラマみたいに箱の中には小さく光り輝く指輪。 「約束果たしたんだから、早く答えろよ。」 「え?」 敦は嬉し泣きしている私の頭をわしゃわしゃと撫でた。 「答えは、決まってるんだろ?」 自信満々で言い切ってしまう。敦はこうゆう奴だ。 「しかたないなぁ。」 私は芝居がかった言い方をして、見上げるように敦を見た。 「敦のお嫁さんに、なってあげる。」 私達はまた歩き出すんだ。 この約束の場所から…。
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