11人が本棚に入れています
本棚に追加
私はまだ、夢でも見ているんだろうか?
貴方がこの場所にいるなんて…。
「何って…約束果たしに来たんだよ。」
「ば…ばっかじゃないの!?」
約束なんて、今更…
「ばっかじゃん…。」
涙が溢れた。
「つーか、あんた、記憶は!?戻ったんでしょ!?」
「うん。」
「彼女は!?」
「別れたよ。」
私は思わず呆然としてしまった。
「…馬鹿だね。」
「俺もそう思うよ。」
「…。」
「ふて腐れんなよ。」
敦は笑うと、優しく涙で濡れた睫毛を拭ってくれた。
「ずっと、覚えてたの?」
「うん。」
「嘘つけ。」
「忘れようとはしたけどね。」
敦と私は、同じだった。必死にお互いを忘れようとしていた。でも、出来なかった。
「えーっと、まず、誕生日おめでとう。…‥俺と、結婚して下さい。」
そう言って小さな箱を私に差し出した。
まさか…
「これ…、」
ドラマみたいに箱の中には小さく光り輝く指輪。
「約束果たしたんだから、早く答えろよ。」
「え?」
敦は嬉し泣きしている私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「答えは、決まってるんだろ?」
自信満々で言い切ってしまう。敦はこうゆう奴だ。
「しかたないなぁ。」
私は芝居がかった言い方をして、見上げるように敦を見た。
「敦のお嫁さんに、なってあげる。」
私達はまた歩き出すんだ。
この約束の場所から…。
最初のコメントを投稿しよう!