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平汰だ─
そう思って携帯を見ると、旦那からのメールでした。時刻は夜7時。
思わず眉間に皺が寄ります。
『電話していい?』
これからのこともあるので、連絡を取らないわけにはいきません。
『いいよ』
簡潔に返信すると、すぐに電話がかかってきました。
「大丈夫?昼間は、ありがとね…」
旦那は、腫れ物にさわるように私に接してきます。
「ああ…」
なんで今日来たのと聞くのも面倒で、止めました。
「…美穂の方、会う日と場所…決まったよ」
美穂…
何度聞いても、旦那から女の名前を聞くと、心臓をギュッとつかまれるように、一瞬苦しくなります。
昼間はそんなこと言っていなかったので、さっき私と別れてから旦那と美穂が連絡を取ったということです。
日程を決めるためにはしょうがないことですが、それでもいい気はしませんでした。
「そう…いつ?」
「16日の金曜日。」
──三日後か…
「13時、○○(地名)の△△ていう喫茶店で…
都合 大丈夫かな…?」
旦那は時刻を24時で表しますが、“13時”という言い方さえも、イラつきます。
「いいよ。店は、調べて行く。
ところで、今日もだけど、平日の昼間に仕事抜け出して大丈夫なの?」
「うん、俺 ほとんど外回りだから、融通は効くから大丈夫だよ。」
─しかし、旦那が仕事中にこんなに自由な時間を作れるとは、知りませんでした。
外回りの営業マンって、誰もこんなものなんでしょうか?
指定された店は喫茶店のようですが、私は行ったことがない店でした。
旦那の実家の近くのようです。
「で、どうやって呼び出したの?私が来るの隠して呼び出したんでしょ?」
「いや…来るって言ってある…」
──!
私が来ると、言ってある?
美穂は、私が来ると分かっていて、その場に来る決心をしたようです。
旦那がなんて言ったか知らないが、なかなか勇気あるじゃないか。
望むところです。
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