4月13日②

12/15
前へ
/117ページ
次へ
平汰だ─ そう思って携帯を見ると、旦那からのメールでした。時刻は夜7時。 思わず眉間に皺が寄ります。 『電話していい?』 これからのこともあるので、連絡を取らないわけにはいきません。 『いいよ』 簡潔に返信すると、すぐに電話がかかってきました。 「大丈夫?昼間は、ありがとね…」 旦那は、腫れ物にさわるように私に接してきます。 「ああ…」 なんで今日来たのと聞くのも面倒で、止めました。 「…美穂の方、会う日と場所…決まったよ」 美穂… 何度聞いても、旦那から女の名前を聞くと、心臓をギュッとつかまれるように、一瞬苦しくなります。 昼間はそんなこと言っていなかったので、さっき私と別れてから旦那と美穂が連絡を取ったということです。 日程を決めるためにはしょうがないことですが、それでもいい気はしませんでした。 「そう…いつ?」 「16日の金曜日。」 ──三日後か… 「13時、○○(地名)の△△ていう喫茶店で… 都合 大丈夫かな…?」 旦那は時刻を24時で表しますが、“13時”という言い方さえも、イラつきます。 「いいよ。店は、調べて行く。 ところで、今日もだけど、平日の昼間に仕事抜け出して大丈夫なの?」 「うん、俺 ほとんど外回りだから、融通は効くから大丈夫だよ。」 ─しかし、旦那が仕事中にこんなに自由な時間を作れるとは、知りませんでした。 外回りの営業マンって、誰もこんなものなんでしょうか? 指定された店は喫茶店のようですが、私は行ったことがない店でした。 旦那の実家の近くのようです。 「で、どうやって呼び出したの?私が来るの隠して呼び出したんでしょ?」 「いや…来るって言ってある…」 ──! 私が来ると、言ってある? 美穂は、私が来ると分かっていて、その場に来る決心をしたようです。 旦那がなんて言ったか知らないが、なかなか勇気あるじゃないか。 望むところです。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2712人が本棚に入れています
本棚に追加