2712人が本棚に入れています
本棚に追加
最初の何回かは、旦那の携帯を奪うことに成功しました。
しかし、結果は…
全て削除済み。
旦那は、✉を受信したらすぐ、そして、送信したらすぐ削除していたのです。
それを見て私はもう悔しいやらムカつくやらで一層泣けてきました…
「なんで✉削除してるんだよおー😭どうせ田尾さんと口裏合わせてんだろー😭(号泣)」
「違うって!ポポが心配しないようにだって!」(←今考えると意味不明)
しかし、次に✉が来た瞬間、
「今だっ‼😠💥」
私は、全力で旦那の携帯を奪いにかかりました。
ああ…なんだか懐かしい…この感覚…
幼い頃、大好きなおもちゃを力ずくで取り合った、あの感覚。
こんな修羅場にありながら、頭のどこかで、私はそんなことを考えていました。
今度は、✉を消去する間も与えていなかったので、旦那も必死でした。
私と旦那の身長差はおよそ20cm。
旦那が背伸びしているその腕から📱を奪おうとしているとき、旦那が言ったんです。
「あああ‼うっとうしい‼」
…旦那は、目を三角に吊り上げていました。
私は旦那のそんな表情を、初めて見ました。
旦那は、とても穏やかな人です。
私に対しても、親兄弟に対しても、友達に対しても、「怒った」ことがないぐらいです。
──だから、ものすごくびっくりしたんです。
彼が、そんな表情をできるということに。
後にも先にも、旦那が激しい感情を露にしたのは、このときだけです。
今でも、旦那のあの時の顔を、私は忘れることができません。
なんと言うか…まるで、別人だったからです。
さて、揉み合いの末奪った携帯を見ると、やはり田尾さんからの✉。
しかし、「分かった」だか「了解」だかの内容で、旦那がなんて送信したのかは、推測できませんでした。
「もうとにかく今すぐ田尾さんに会う!😭田尾さんの口から聞いてスッキリできればそれでいいから!😭」
「改めて会う機会を作るから今日は急だし無理だって💦」
「絶対に今行く‼😭」
「無理だって💦──」
「もういい。電話する😒」
「💥⁉」
私は、旦那の目の前で、旦那の📱から田尾さんの番号を調べ、自分の📱でかけました。
※もちろん、そんなことをするまでもなく、私の📱にはすでに『尾田さん』が登録されていますが。
TRRRR…TRRRR…(呼び出し音)
「おい💦いい加減にしろって‼💦💦───」
TRRRR…TRRRR…
さあ田尾さん、出て。
最初のコメントを投稿しよう!