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旦那は、田尾さんの家の前、道を挟んだ向かい側に路駐しました。
田尾さんの家は、小綺麗な一戸建てでした。
庭には、男の子用の小さな自転車がありました。
小学校低学年の子に丁度よいサイズです。
車は、ありませんでした。
そして、表札には、『田尾』と書かれていました。
「電話して!田尾さんを呼んでここに!」
「分かったって…!」
旦那は電話をかけました。
しかし、2~3回コールしただけで電話を切ってしまい、
「出ないわ。車もないから、家にも居ないわ。帰るよ」
と、一方的に言うと、車のエンジンをかけました。
「はっ⁉⁉⁉ちょ…💦💦
出ないってアンタ…どう考えてもそれ短すぎるし…💦
ちゃんと出るまで鳴らしてよ!
…てか、今ホントにかけたの⁉📱見せてよ!」
しかし、後部座席でチビを抱いた私は、旦那の📱を取り上げることはできませんでした。
「田尾さんの車はないけど、奥さんはいるかもしんないじゃん!いつ帰ってくるか、聞いてきて!…いや、私聞いてくる!」
「もういいって!家まで来たけどいなかったんだから!奥さんにまで迷惑かけてどうすんの!
帰るよ!」
「迷惑って……
どっちの家庭に迷惑がかかってんだよ〰〰😭💢
迷惑かけてんのは田尾さんなんでしょ〰⁉
奥さんにバラすなんて言ってないじゃん‼仕事の用事とか言って、帰る時間だけでも聞いてよ〰‼😭😭😭」
はい…修羅場です。
私は家まで来たんだから当然田尾さんに会えると、もしくは約束するとかできると思っていました。
しかし、旦那は、
家来たよ→不在だね→電話も出ないね→しょうがない→帰るね
という理論で、引き返そうとしているのです。
しまった…‼😣
最初から私を田尾さんに会わせるつもりなんかなかったんだ旦那…‼
私はようやく気付きました。
しかし‼
せっかく田尾さんの家が分かったのです。無駄にするものか…
私は、チビを抱いて車から降りようとしました。
すると、その動きを察知した旦那は、ドアにロックをかけると、急いで車を発進させたのです。
「あ、開かない…開けてよ〰😭
降ろしてよ…」
しかし、あっと言う間に車は速度を上げ、今ドアを開けても、とてもチビを抱いて飛び降りることはできないスピードになりました…
「なんなの…
停めてよ…車…停めてよ」
私は田尾さんに会うことを訴え続けましたが、言葉にはもう力が入りませんでした。
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