2710人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
それは、私が次の質問をしたとき──
「いつ 渡したんですか?💢」
『夏…ぐらいかな…』
(∵)アレ?
体の力が一気に抜けました。
私は、無表情口半開きで、旦那の顔をぼーっと見ていました。
矢継ぎ早に質問していた私の様子がいきなり変わったことに気付き、旦那は私の手から、携帯を取り上げました。
「あ💦すいませんありがとうございました💦
失礼します💦」
旦那は電話を切ると、運転席から振り返った体勢で私の顔を見ました。
私は、もう泣いてはいませんでした。
怒ってもいませんでした。
ただ、旦那の顔を、何も言わずに見つめました。
旦那からは、田尾さんの声は聞こえていなかったと思いますが、私の様子から、悟ったようでした。
───自分の話と、田尾さんの話に大きな矛盾点が生じたことを…。
旦那が田尾さんからブツを受け取ったと言ったのは、『先週の日曜日』。
一方、田尾さんが渡したと言ったのは『夏ぐらい』。
ここには、大き過ぎる 開きがありました。
(※なぜ田尾さんが「夏」と言ってしまったのかも、後々分かるのですが…)
「───俺のだよ」
「だよね」
不思議な感覚でした。
もう怒らなくていいんだ、泣いて問い詰めなくてもいいんだという安堵感…。
あとはすべて旦那が真実を話してくれるだろうという、何か 気が抜けたような気持ち…
しかしながら、やっぱりかという呆れ…
帰りの車中、私は興奮してはいませんでした。落ち着いていた…というと少し違うかもしれませんが、安心&がっかりで、とても疲れていました。
私は、旦那に、その2アイテムにまつわる真相を、聞いていきました。
旦那がこのとき白状したのは、こうです。
ポイントカードの店は、田尾さんの知り合いが経営しているヘルス。
一緒に何回か行った。
デリヘルもたまに利用していて、そのときに○○○○ー○ーは使っていた。
「うんうん」と、私は聞きました。
過ちを認め、洗いざらい白状している(と思われる)人に対して、怒ることは出来ませんでした。
「なんでもっと早く言ってくれなかったの?私すごくスッキリしたんだけど」
とさえ言いました。
ほどなく帰宅した私たちは、チビが寝たところで、今回のことについて、話し合いました。
私たちは、食卓に、向かい合って座りました。
「タカシ、氷山って知ってる?」
最初のコメントを投稿しよう!