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「氷山?」
旦那は、伏せていた顔を上げました。
「私は、【嘘】は、氷山の一角ようなものだと思ってる。」
嘘を吐き、必死で隠す人…
それを暴こうと、これまた必死な人…
【真実】は、巨大な氷山。
僅かなきっかけから嘘に気付き、相手を問い詰め、真実を全て暴いたつもりになってもそれは…
海面から顔を出した、氷山の一部にしか過ぎなくて…
本当は、もっともっと残酷で巨大な真実が、海面下に隠れている。
必死で隠し通そうとしている人の嘘を、100%白日の下に晒すなんてことは、ほとんど不可能に近い。
───そんなことを私は、旦那に話しました。
「つまりさ、タカシが今白状したこと…
それは、大きな氷山の一角でしかないと思うのね。
本当はもっと私に隠していることが…あるはずだよ。
私は、全部暴いたなんて、思ってない。」
もちろん旦那は、
そんなことないって!
もう何もないって!!
と 言いましたが、そんな訳……
私はこの3日間で、旦那がどんな風に嘘を吐くか、しっかり見てきたのです。
でも───
それは、頭で考えての話。
私は、こんな風に冷静を装って「氷山」の話なんかしてみたものの、本当は、もう何も隠していないと、信じたかったのです。
私は真実を知るために手を尽くしたし、他の人なら煙に巻かれてうやむやにされてしまうところを、私はうまく立ち回って、大半暴いたのではないかと…。
もちろんまだ隠していることはあるかもしれない。
でも、これ以上私を裏切る大きな真実はきっとない、ないと信じたい、できる人ではない…
隠れて風俗通いをしていた──
それだけでもう十分だ…
私は、もちろん 旦那が、私たちのルールを破っていたこと・嘘を吐いていたことに傷付きはしました。
でも、それで別れようとか そういう考えには、至りませんでした。
男が、そういう生き物だということは、ある程度、理解しています。
だから、私は、今回のことで、私がどんな思いをしたか 旦那に伝えました。
そして、私がいちばん嫌だったのが、無関係な人(田尾さん)を巻き込んで、ギリギリまで嘘を吐き続けたことなのだと。
旦那は、私に何を言われても、もう謝るしかありませんでした。
しかし私は、話しながら、ふと、私の言葉が旦那を貫通してしまっている という感覚に襲われました。![image=417464935.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/417464935.jpg?width=800&format=jpg)
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