4月10日

12/13
2711人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「氷山?」 旦那は、伏せていた顔を上げました。 「私は、【嘘】は、氷山の一角ようなものだと思ってる。」 嘘を吐き、必死で隠す人… それを暴こうと、これまた必死な人… 【真実】は、巨大な氷山。 僅かなきっかけから嘘に気付き、相手を問い詰め、真実を全て暴いたつもりになってもそれは… 海面から顔を出した、氷山の一部にしか過ぎなくて… 本当は、もっともっと残酷で巨大な真実が、海面下に隠れている。 必死で隠し通そうとしている人の嘘を、100%白日の下に晒すなんてことは、ほとんど不可能に近い。 ───そんなことを私は、旦那に話しました。 「つまりさ、タカシが今白状したこと… それは、大きな氷山の一角でしかないと思うのね。 本当はもっと私に隠していることが…あるはずだよ。 私は、全部暴いたなんて、思ってない。」 もちろん旦那は、 そんなことないって! もう何もないって!! と 言いましたが、そんな訳…… 私はこの3日間で、旦那がどんな風に嘘を吐くか、しっかり見てきたのです。 でも─── それは、頭で考えての話。 私は、こんな風に冷静を装って「氷山」の話なんかしてみたものの、本当は、もう何も隠していないと、信じたかったのです。 私は真実を知るために手を尽くしたし、他の人なら煙に巻かれてうやむやにされてしまうところを、私はうまく立ち回って、大半暴いたのではないかと…。 もちろんまだ隠していることはあるかもしれない。 でも、これ以上私を裏切る大きな真実はきっとない、ないと信じたい、できる人ではない… 隠れて風俗通いをしていた── それだけでもう十分だ… 私は、もちろん 旦那が、私たちのルールを破っていたこと・嘘を吐いていたことに傷付きはしました。 でも、それで別れようとか そういう考えには、至りませんでした。 男が、そういう生き物だということは、ある程度、理解しています。 だから、私は、今回のことで、私がどんな思いをしたか 旦那に伝えました。 そして、私がいちばん嫌だったのが、無関係な人(田尾さん)を巻き込んで、ギリギリまで嘘を吐き続けたことなのだと。 旦那は、私に何を言われても、もう謝るしかありませんでした。 しかし私は、話しながら、ふと、私の言葉が旦那を貫通してしまっている という感覚に襲われました。image=417464935.jpg
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!