2712人が本棚に入れています
本棚に追加
「別れてきた」ことが、嘘ではないことを確かめるべく、私はどんな様子だったかをこと細かく彼に聞きました。
詳細は割愛しますが、私の質問に彼は一つ一つ細かく答えました。
その場に立ち会えなかったという無念さはありましたが、彼の説明にも矛盾は感じなかったので、これで終わったのだと、自分を納得させることにしました。
だって彼と尚子は同じ学校、同じクラス。別れたって毎日顔を合わせるんです。
毎日疑って、気にしていたら、私の身がもちません。
そんなこんなで彼が尚子と決別してから何週間か経った頃…
私の気持ちに引っ掛かりは大いにあったものの、そこは見ないように、忘れるようにしながら毎日過ごしていた頃…
別れなかった私がこれほど辛いのだから、尚子も別れた相手と毎日学校で顔を合わせて辛いんだろうな…と、私は尚子に同情の念さえ抱くようになっていました。
ある日彼は、
「学校の友達とカラオケ&飲みに行く😃」
と言い、出掛けます。
メンバーは、A君とB君とC君とD君と…男ばっかりです。
カラオケもお酒も大好きだった彼は、今日の服装を「変じゃない?変じゃない?」と、何度も私に確認しながら、頭の上に🎵マークを乗っけて出掛けました。
数週間前にあのようなことがあり、気持ちも幾分か落ち着いてはきてはいましたが、完全に終わらせるには、私にはまだやり残したことがありました。
私は、尚子の姿かたちはおろか、今の気持ちも、考え方も…何も知らないのです。
全ては私の知らないところで始まって、終わっていった今回のこと…
尚子なんて人物、そもそも実在するのか…?
私は、実はあのあと、彼の📱から尚子の番号、メアドを調べておいたのです。
確かこれは、頭の中にメモしたと思います。私はいつも、大切なことはそうします。
どうでもいいこと・興味がないことは、びっくりするほど忘れますが、こういうことにだけは爆発的な記憶力を発揮する私の脳味噌。
証拠も残りません。
そしてもちろん彼には内緒です。
彼が学校のとき以外はほとんど一緒にいた私と彼。
彼と、私と、尚子がバラバラにいることが確実な機会が今、やってきました。
私は、尚子に、初めて✉を打ちました。
『初めまして、尚子さん。私は土田(彼・仮名)と付き合っていて、一緒に暮らしている、ポポといいます。』
言葉を選んで、できるだけ丁寧に…
最初のコメントを投稿しよう!